よく聞くのは高血圧症や糖尿病だね!
そうだよ〜。身近な病気だけど実はかなり怖い病気でもあるんだ。
昔は”成人病”と呼ばれていた病気ですが、年齢は関係なく文字通り生活習慣の乱れが原因で発症に繋がることから現在の”生活習慣病”という名前に変更されました。では生活習慣病となり得る毎日の不規則な生活習慣とは一体どのようなものが該当するのでしょうか?答えは”食生活” ”運動” ”喫煙” ”飲酒” ”ストレス”などの誰でも関わりがある習慣なのです。日々の蓄積により発症するものの初期症状はほとんどなく、気づかないうちに進行してやがて命を脅かす重篤な病気を引き起こすリスクを高めるものなのです。この性質から別名”サイレントキラー”と呼ばれることもあります。では代表的な生活習慣病とその特徴や原因についてみていきましょう!
生活習慣病の定義と種類について
生活習慣病とは、日常の生活スタイルが影響を及ぼす病気の総称です。運動不足や不規則な食事、過剰な飲酒や喫煙が主な原因となり、体重の増加や異常な血圧、血糖値の上昇を引き起こします。これらの要因が蓄積すると、心筋梗塞や糖尿病など、さまざまなタイプの疾患を引き起こすリスクが高まるのです。 具体的には、運動不足により肥満が進むと、動脈硬化や高血圧の状態が進行しやすくなり、生活習慣病を患っていない人に比べて症状がひどくなったり、治療が難しくなることもあります。また、ストレスや生活習慣の見直しが不足すると、合併症のリスクも増加します。特に、日本人は生活習慣病に罹患する確率が高いと指摘されているため、日常的に健康を意識することが重要となります。
代表的な生活習慣病の種類とその特徴
では代表的な生活習慣病について具体的な病名とともにその特徴や原因についてまとめていきましょう。
糖尿病
⭐︎特徴‥血液中のブドウ糖濃度が慢性的に高くなる(血糖値が高い)
初期症状として喉の渇きや多尿、倦怠感があるが自覚症状がないことが多い
進行すると網膜症(失明)、腎症(腎不全)、神経障害(手足の痺れ)という3大合併症を引き起こすほか動脈硬化のリスクを高め、心臓病や脳卒中の危険性が高くなる
⭐︎原因‥過食や偏食、運動不足による肥満、遺伝的な要因などが関係する
膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きが悪くなることで引き起こる
高血圧症
⭐︎特徴‥血圧が正常値よりも高い状態が続く
初期症状として頭痛やめまい、肩こりなどがあるが自覚症状がないことが多い
放置すると動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞など様々な合併症を引き起こす
⭐︎原因‥塩分過多や肥満、運動不足、飲酒、喫煙、遺伝的要因などが関係する
脂質異常症(高脂血症)
⭐︎特徴‥血中のコレステロールや中性脂肪(脂質)などが正常値から外れる状態が続く
健康診断などで血液検査を受けて指摘されることが多い
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪が多い状態が続くと血管内にプラーク(脂肪の塊)ができ、動脈硬化が進行する
⭐︎原因‥脂肪分の高い食事や運動不足、遺伝的要因が関係する
痛風・高尿酸血症
⭐︎特徴‥血液中の尿酸値が高い状態が続く
尿酸が結晶化し関節などに付着することで激しい痛みを伴う痛風発作を引き起こす
腎臓に負担がかかり、腎障害や尿路結石を引き起こすこともある
⭐︎原因‥プリン体を多く含む食品(肉類や魚卵など)やアルコールの過剰摂取
肥満、激しい運動などが関係する
メタボリックシンドローム
⭐︎特徴‥内臓脂肪型肥満に加えて、高血圧症、高血糖、脂質異常症のうち2つ以上を合併
個々の症状は軽度であっても、複数重なることで動脈硬化が急速に進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが著しく高まるため特に注意が必要
⭐︎原因‥不適切な食生活や運動不足が重なり肥満(特に内臓脂肪型)になることで引き起こる
病名は違えど、原因は生活習慣の乱れだし、それらによって引き起こされるリスクはどれも似ている気がする?
そうだね。動脈硬化は特に頻繁に登場しているし、ダメージを受ける部位も心臓や脳と共通する点が多いね。
これらは決して単独で発症するとは決まっておらず、複数が悪影響を及ぼし合って進行することもよく見られます。若いから大丈夫であると決めつけず健康診断を定期的に受診し、早期発見・早期対策に努めることが非常に重要となります。
生活習慣病による合併症のリスク
ここまで代表的な生活習慣病の種類や特徴について説明してきましたが、特徴にもいくつか記載しているように生活習慣病が引き起こす合併症が存在します。これらの合併症は生活習慣病が引き金となり発症するものでその症状は時に命を脅かすこととなるのです。ではその合併症の症状は一体どういうものなのか見ていきましょう。
動脈硬化が原因となり起こる病気
まずおさらいですが、動脈硬化を引き起こす生活習慣病は多く、高血圧症や脂質異常、糖尿病、メタボリックシンドロームが該当していました。
では次に改めて動脈硬化についてです。動脈硬化とは簡単にいうと血管が硬くなったり、血管内壁にコレステロールなどが付着して血管内が狭くなったりすることです。なんで血管が硬くなるの?と思った方のためにもう少し詳しく説明しようと思います。
①血管の壁に”傷”ができる
動脈はいくつかの層になっていますがその最も内側は”内皮細胞”と呼ばれる細胞でできています。この細胞は本来滑らかでしなやかな性質を持つものですが、生活習慣病やストレスが原因で小さな傷がついたり、機能が低下したりします。
②LDLコレステロールの侵入と蓄積
血管の壁が傷つくことで血液中にあるLDLコレステロールが傷の隙間から血管の壁の内部に侵入しやすくなります。
③プラークの形成
血管の内部に入り込んだLDLコレステロールは異物とみなされ、それを排除しようと白血球の一種であるマクロファージが集まってきますが、マクロファージがコレステロールを取り込みすぎることにより死骸となり血管の壁に溜まり脂肪の塊であるプラークを形成します。
④血管の硬化と狭窄
プラークが大きくなると血管の内壁が厚くなってしまい血液の通り道が狭くなってしまうのです。またプラーク内で炎症が起きたり、カルシウムが沈着したりすることで血管の壁が次第に硬く、脆くなっていきます。
⑤悪循環になる
血管が硬くなると、血管自体に備わっているポンプのような役割は失われることになり、血液を全身に届けるために心臓はより強い力で血液を送り出すことが必要なので血圧が上昇します。高くなった血圧によりさらに血管の壁に負担がかかり動脈硬化が進行するという悪循環に陥るのです。
このようにして起こった動脈硬化は脳卒中や心臓病などを引き起こすわけです。
脳卒中:脳梗塞(脳の血管が詰まる) 脳出血(血管が破れる)
いずれも手足の麻痺や言語障害など重篤な症状を引き起こします。
心臓病:狭心症(心臓の血管が狭くなる) 心筋梗塞(心臓の血管が詰まる)
いずれも激しい胸の痛みなどの症状を引き起こします。
糖尿病に特有な合併症
糖尿病は細い血管が障害を受けやすい特徴があり、”糖尿病の三大合併症”と呼ばれる合併症を引き起こします。
糖尿病性網膜症:目の網膜の血管が障害を受け、最悪失明に繋がります。
糖尿病性腎症:腎臓の働きが悪くなり、人工透析が必要になる場合もあります。
糖尿病性神経障害:手足の痺れや感覚麻痺、立ちくらみなどを引き起こします。
これらの合併症は命に関わることがあることはもちろんですが、生活の質を著しく低下させるという点では特に注意が必要であると言えるでしょう。
高尿酸血症が起こす合併症
高尿酸血症はそれ自体は無症状ですが、放置によって先ほどの説明であったように痛風や尿路結石などを引き起こします。
痛風:尿酸結晶が関節に付着し激しい痛みを伴う炎症が起こります
尿路・腎結石:尿中の尿酸が結晶となり腎臓や尿管に結石ができ激しい痛みが起こります。
痛風腎:腎臓に尿酸結晶が溜まり腎機能が低下し、最悪腎不全を引き起こします
最後に
手軽に美味しいものが食べられるからと外食ばかり。栄養のバランスも考えずに好きなものばかり食べる。仕事で疲れたからコンビニやファストフードで食事を済ませている。休みの日はスマホやゲームばかりで特に運動もせず過ごす。日々のストレスを発散しようとお酒やタバコに頼る。こんな生活に心当たりがある方は意外と多いのではないでしょうか?子供の頃とは違って大人になったからこそ自分がやりたいようにできる自由を手にしますが、その自由が”何かの犠牲の上に成り立つもの”になってはいませんか?近年の研究でも食生活の変化や医療技術の進歩によって我々の平均寿命が伸びていることが明らかになっています。長生きをできる時代において”健康である”ということは大きな価値を持ちます。長生きをしてはいるけども、”技術によって生かされている”なんて状況が起こり得る時代だからこそ、若い頃からの積み重ねが重要となる健康について考えてほしいと思います。ここで書いた病気は世の中に数ある疾患のほんの一握りです。その全てに気をつけることは到底できないですが、自身の生活習慣を気に掛けることで防げる可能性がある病気があるということ、またその病気の危険性を理解していただいて、これまでの生活を省みるきっかけにしていただきたいと思います。


